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『崖の上のポニョ』 宮崎駿監督最新作を観て

ポニョの父親は人間、母親は海の女神の設定からびっくり。その両親から人魚が生まれるって、どうなってるんでしょうね(笑)。

父親は、人間の世界を嫌って、海の中で生きることにした人物。海の生命を活性化する秘薬を作っているらしいが、人間によって傷ついた海と海の生き物を救うためと理解しましたが、違うかな?

ところが、ポニョは、変な化学物質満載のカップラーメンやハムがやたらと気に入って、人間の世界に住みたいと駄々をこねる。もちろん、父親は簡単に許しそうにない。ポニョを海に連れ戻そうとするが、人間のボーイフレンドのもとへ逃避行。2人の愛が実って、ハッピーエンド。

たわいの無い話で、拍子抜けしたというのが率直な感想。

確かに「敵対するより、大きな心で愛し合おう」というメッセージが底にあることはわかる。「自然とか、環境とか、そうカリカリしなさんな」と言いたげなポニョの天真爛漫な行動もわからないではない。しかし、宮崎監督は、私のような旧型の「環境派」に対する当てつけをしてるんだろか? 私は、ポニョの父親がかわいそうでならない(笑)。

前作『ハウルの動く城』で、臆病者の魔法使いハウルが愛する者のために闘うというナショナリズム丸出しの「成長」を遂げてびっくりさせたかと思うと、最後はソフィーの愛=もっと大きな、敵も味方も全て包み込んでしまうような包容力で救われるという話であった。

その前の『千と千尋』でも、ハクが人間に復讐するために魔女の弟子にるのを救ったのも千尋の「愛」でした。『千尋』以降の宮崎作品のメインテーマは「闘いよりも愛を! Love and Peace!」かもしれません。それはそれで、重要なメッセージなのですが、私がイヤ~な気分になるのは、『千尋』と『ポニョ』で、闘っているのは、自然破壊をされて憤っている川の神様とかディープエコロジスト的な人物だったりするわけです。彼らが愛の力で闘いを止めるというストーリーは、とうてい容認できません(笑)。

しかし、一番不満なのは、見終わった後の爽快感が無い。『トトロ』や『ラピュタ』が世代を超えたエンターテイメントとなっているのは、「脱文明」や「自然礼賛」のメッセージがあるからではありません。『紅の豚』で文明批評の要素は極薄だし、『カリオストロ』ではさらに薄い。でも、これらの作品では、説明的要素と娯楽要素に切れ目と過不足が無くストーリーにきっちりおさまっている気がする。絵も合っていた。

ところが、最近の2作は、そういったバランスを欠いている気がする。分不相応に偉そうなことを書いてしまった。申し訳ない。

NHKの番組で宮崎監督が『ポニョ』を作っているドキュメンタリーを流していた。ストーリーを生み出せずに苦悩する監督。この番組は、録画して後に観たのだが、痛々しい気分になって途中で観るのを止めてしまった。これまた、巨匠には失礼な発言だった。申し訳ない。

★ポニョと宗介が乗った船は、子どものころ良く遊んだおもちゃなので、とっても懐かしかった。こういう、緻密な細部の構成は、いつもながらほんとうに見事ですね。

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