三月坊主
去年のクリスマス、当時中2の娘がサンタさんかららギターをもらった。吹奏楽部でサックスを吹いている。さらにギターをやりたいというので、感心したサンタさんが奮発したのだろう。入門用の安い楽器だが、2万円近いはずだ。
大喜びした娘、1週間くらいは教則本とにらめっこで、練習していたが、そのうちやらなくなった。
「すごく難しいんだもの」と言う。楽譜すら読めなかった、素人が2年ほどでサックスが吹けるようになり、最近はソロもやるぐらいだから、ギターもすぐに覚えるだろうと思っていたのにこのていたらく。
「じゃあ、オレがやってやる!」と怒った父親は、音感無し、リズム感無し、音符読めないの3重苦に加えて、手先の不器用を加えた4重苦である身の上を忘れて、1月からギターの練習を始めた。C~Bまでのメジャーコード8つにマイナーコード8つ、それに、セブンスコードを加えたとしてもコードの数は24。たかがしれている。1日に1つずつコードを覚えたとしたら、1ヶ月でコードストロークぐらいはできるに違いない、と考えたが、素人の浅はかさと言う他はない。
やってみて驚いた。Cコードさえまともに鳴らない。Fコードなどは夢のまた夢。とうてい人間の指で押さえられるとは思えない。20分もやったら、左手の指が痛くなって、おさえられなくなった。Cコードがなんとかそれらしい音になるまで1週間。「比較的簡単」と言われたAコードは10日たってもまともに鳴らない。「こんなはずではなかった」と思ったが後の祭り。大見得をきった手前「三日坊主」にだけはなるまいと決心して「1日には1時間以上練習しない、たとえ10分でも毎日やる」 ことにした。
それから3ヶ月、3月末までは最低1日10分のノルマをこなし続けていた。多少チューニングが狂っても引き続けて、4~5つのコードはどうにか弾けるようになったが、コードチェンジまでの道は遠い。とうとう音痴の私でも許せないぐらいにチューニングが狂ったのが引き金となり、年末年始の多忙にまぎれて、もう1ヶ月も楽器にさわっていない。三日坊主にはならなかったが、3ヶ月坊主の汚名を負って生きることになるのだろう。ギターは今、押し入れの奥で眠っている。
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